新潟地方裁判所 昭和28年(レ)24号 判決
被控訴人は、控訴人に対し金千八百三十三円三十三銭及び金五千円に対する昭和二十七年三月一日から同年六月三十日まで、金千八百三十三円三十三銭に対する昭和二十七年七月一日から完済に至るまで各年一割の割合による金員を支払うべし。
訴訟費用は第一、二審とも被控訴人の負担とする。
二、事 実
控訴人は、主文同旨の判決を求め、被控訴人は、控訴棄却の判決を求めた。当事者双方の事実上の主張は、原判決事実摘示と同一であるからこゝにこれを引用する。<立証省略>
三、理 由
控訴人が昭和二十六年四月二十二日訴外松井与吉に対し金一万円を利息は元金十円につき一ケ月金五十銭の割合、弁済期同年六月三十日の約にて貸付け、その際被控訴人が右松井の債務につき連帯保証をなしたこと、控訴人がその後右松井より元金のうち金五千円並びに同年二月末日までの利息及び遅延損害金の各弁済を受けたことは当事者間の争のないところである。
そこで、被控訴人は、本件消費貸借が強行法規たる貸金業等の取締に関する法律(以下、単に貸金業取締法という。)の規定に違反し無効であるから、本件保証契約もまた無効であると主張するので、先づこの点につき審究するに、控訴人が貸金業取締法にいう貸金業者であつて、本件消費貸借がその業としてなされたことは成立に争のない乙第一号証の一乃至十四によりこれを認めうるところであつて、他に右認定を覆えすに足る証拠はない。そして、控訴人が貸金業を営むについて同法所定の手続を経ていないことは当事者間に争のないところであるから、本件消費貸借は控訴人が貸金業取締法第五条に違反してこれをなしたものというべきであるが、同法の立法趣旨に照らし同法第五条はいわゆる効力規定と解すべきではなく、同法に違反してなされた消費貸借についても私法上の効力を否定すべきものではないと解するのが相当であるから、本件消費貸借の無効を前提とする被控訴人の右主張は理由がない。
次に被控訴人の弁済の抗弁につき按ずるに、前記松井は昭和二十七年六月中控訴人に対し本件残債務のうち更に金二千円を弁済した旨主張するけれども、この点に関する原審証人松井与吉、同臼木ヒデ、同臼木クマの各証言は、これを原審証人薄木小町の証言及び当審における控訴人訊問の結果に照らしにわかに措信し難く、他に被控訴人の右主張事実を肯認するに足る証拠はない。従つて、被控訴人の右抗弁はこれを採用することができない。
然らば、被控訴人は控訴人に対し元金残額五千円及びこれに対する昭和二十七年三月一日から完済に至るまで、約定利率を利息制限法所定の範囲に引直した年一割の割合による遅延損害金を支払うべき義務があり、結局右金員のうち金千八百三十三円三十三銭及び金五千円に対する昭和二十七年三月一日から同年六月三十日まで、金千八百三十三円三十三銭に対する昭和二十七年七月一日から完済に至るまで各年一割の割合による金員の支払を求める控訴人の本訴請求は正当である。
よつて、本件控訴を理由ありと認め、民事訴訟法第三百八十六条、第九十六条、第八十九条を適用して主文のとおり判決する。
(裁判官 山村仁 緒方節郎 寺沢栄)